～2026年4月からの調査義務化に備えて～
目次
1. 背景
2026年4月より、事業者にはPFAS（有機フッ素化合物）の調査義務が課されます。これまでの51品目から53品目へ対象が拡大し、規制は一層強化されます。
さらに、浄水器や処理設備の導入により、PFAS濃度を「1未満」に抑えることが求められるケースも想定されます。
2. 企業が直面する課題
(1) 対象物質の拡大への対応
- 51品目から53品目へ増加し、該当する製品や工程を再確認する必要がある。
- サプライチェーンの上流（原料メーカー）から下流（販売先）まで調査範囲が広がる。
(2) 測定・調査体制の整備
- 専門機関への測定依頼コストが増大。
- 自社内での検査体制がない場合、調査の遅延リスク。
(3) 浄水・排水処理の課題
- 既存設備ではPFASを十分に除去できない可能性。
- 活性炭やRO膜（逆浸透膜）導入のコスト負担が大きい。
(4) 情報管理・報告体制
- 調査結果の記録・報告書作成が必須となる。
- 複数部門（環境、安全衛生、総務など）にまたがる情報共有が煩雑。
(5) 社内外コミュニケーション
- 社員・地域住民への説明責任。
- サプライヤーへの調査依頼や契約見直しの必要性。
3. 課題への対応策（提案）
(1) 対象物質確認と調達管理
- 最新の53品目リストを基に、自社製品・原料を点検。
- サプライヤーに対し「PFAS不使用証明書」や「調査回答書」を依頼。
- 調達契約に「PFAS管理条項」を追加し、リスクを事前に排除。
(2) 測定体制の効率化
- 複数社で「共同測定」を実施し、コスト削減。
- 定期的な外部機関依頼＋簡易検査キットの併用。
- 将来的には自社内で簡易スクリーニングが可能な体制を構築。
(3) 浄水・排水設備の導入
- 小規模事業者向けには浄水器型のPFAS除去装置を導入し「1未満」を確保。
- 大規模工場は活性炭＋RO膜を組み合わせた処理ラインを検討。
- 国や自治体の補助金制度を活用して初期投資を抑制。
(4) 情報管理と報告の効率化
- 調査記録はデジタル化（Excel管理から専用システムへ移行）。
- 年次報告や監査に備えて「調査履歴データベース」を構築。
- 事業協同組合など業界団体を通じて、雛形・書式を共有。
(5) 社内教育・ステークホルダー対応
- 社員向け研修を実施し、PFASリスクと対応策を周知。
- 住民説明会やCSR報告書で「企業としての安全対策」を明確化。
- サプライヤー説明会を開催し、共通理解を醸成。
4. まとめ
2026年4月からのPFAS調査義務化は、企業にとって法令順守・社会的責任の両面から大きな課題となります。
しかし、組合を通じた共同測定・情報共有・浄水器導入支援などを活用すれば、コスト削減と効率的な対応が可能です。
早期に準備を始めることで、法令順守だけでなく「環境に配慮した企業」というブランド価値向上にもつながります。
